30代独身女が推しの熱愛報道で絶望したけど塩パンに救われた話
推しの熱愛報道。
本気で誰かを応援している=推しがいる人にはよくあることだと思う。
私30代独身女、推しの熱愛報道がきっかけですべてに絶望して死にたくなりました。でも塩パンのおかげで元気になったよってお話。
30過ぎて何言ってるねん!というツッコミだけはしないでください!
自分が一番分かっているから!!
私には推しがいた。
その人といつか出会って付き合って結婚したいと妄想していた。
かなうわけないと心の底で思いながらも現実は嫌なことばかりで、そんなことを妄想しているのがただただ楽しかった。そういう人のことをリアコって呼ぶことを最近知った。
一般人の私に見える情報だけだけど、見た目も中身も座右の銘までもすべてがタイプだった。才能がすごい人でこういう人を天才っていうんだって思ってたし、行動ひとつひとつがドストライク。毎日推しの作品を見ていた。
その推しがファンとは付き合わないって言っていたから、Twitterもフォローせずに見ていたし、ファンクラブにもあえてはいらなかったし、グッズも買わなかった。いつか出会ったときファンってバレて台無しになりたくなかったから。
出会ったときは有名だから知っているけど、そこまで詳しく知らないです・・っていうテイで話すことまで決めていた。
好きなタイプを話しているときに、少しでも自分が当てはまっていたらすごくうれしくて、いやなことがあって落ち込んでもちょっとだけ回復が早かった。
ここ2年くらい仕事でずっと悩んでいて、通勤中に絶望していても楽しい未来の妄想をするだけで救われた。
そんなある日。推しに彼女がいるんではないかという噂がたった。
かなりショックだった。でも噂は噂。有名だし、それくらいの噂はたっても仕方ないよねって自分をごまかした。相手も有名な人で私はあまり好きではない人だった。彼女いたとしてもこの人であってほしくはなかった。
その人の周りの人のTwitterとかを見ていたらもしかして本当かも?と思うこともあったけど、いやまさかまさか・・本人は何も言ってないしねーなんて自分をごまかすことに必死だった。妄想していてもそのことが頭によぎった。
そこから数か月。特に報道もないまま時間は過ぎていった。ああただの噂だったのか。よかった。私は安心しきっていた。
噂も消えたころに突然週刊誌に報道されたのだ。でもそこには2人の写真は載っていなかった。誤報であってくれ・・と思いながらも読み進めると最後に事務所からの返答が。
「いいお付き合いをさせていただいていると聞いております。」
ああああーーーー
おわったーーーー
絶望した。
火のないところに煙はたたないですよね。そうですよね。はいはい。
Twitterは祝福のメッセージであふれていて見れなかったし、ニュースサイトをひらくたびにそのニュースが目にはいってきてスマホをいじることさえつらかった。
ここまでは推しの熱愛報道に絶望するよくあるリアコ。
私にはここからもうひとつのネガティブの波がおとずれた。
ここから先の未来で想像していたことすべてがかなわない気がしてきたのだ。
借金返してお金持ちになりたいとか
仕事やめて好きな仕事したいとか
もっと広い部屋に住みたいとか
痩せて好きな服着たいとか
推しと出会うよりも確率がかなり高いことも絶対無理だと思ったし、努力してがんばろうと思ってやっていたこともすべてやめてしまった。どうせかなわない。かなわないならば期待してはいけないという思考になってしまったのだ。
毎日うつうつとしていて、何もやる気がなくなった。仕事だけはいっていたけど、ひとりでふとしたときに「しにたいしにたいしにたい」と思うようになっていた。休みの日はほとんどの時間をベッドの上で過ごした。
そこに追い打ちをかけるように、仕事の繁忙期による長時間労働、それなのに安い給料の振込、元カレの結婚、大肌荒れ、慢性鼻炎の悪化などなど嫌なことが立て続けに起こった。
精神科に行ったほうがいいかもしれないというところまできていた。
それを救ってくれたのはまさかの塩パンだった。
その超絶に鬱のときは自炊なんてする気が起きなくて、荒れた食生活をしていた。外食に行こうという気も起きないので、仕事帰りにお弁当や惣菜を買うか出前だけで過ごしていた。
その日もなんか適当に買って帰ろうと思って、駅前のパン屋で何となく買った塩パンがびっくりするほどおいしかったのだ。
しばらくダイエットのためにパンを食べていなかった。数年前にパンが一番太るとジムのトレーナーさんに言われてから食べたとしてもローソンのブランパンくらいで、パン屋に行くこともやめていた。だから塩パンを食べたこともなかった。
そこから塩パンにはまり、毎日塩パンを食べた。
どこの塩パンがおいしいか調べたり、パン屋を見つければ塩パンを買って食べ比べしたり。そんなことを繰り返しているうちに少しずつ元気になった。
そこから時はたち、いまは塩パンもまた食べなくなったけど、元気だ。あのとき塩パンにハマっていなかったらいまどうなっていたのかと思うと少しぞっとする。
その推しの作品は昔のように毎日は見れないけれど、少しSNSをのぞけるくらいにはなった。
いままでアニメのキャラとかにリアコしている友達とかを少し心の中でバカにしていたけれど、アニメキャラは絶対に裏切らないからなんだなって少し納得がいった。
だって塩パンは裏切らないから。