【この人生本当に私のもの?】鳥飼茜さん著「サターンリターン」を読んで
何度もブログで書いたことがあるが私には5年付き合った彼氏がいた。
過去形なのは別れたから。「好きな人ができた」とある日突然こっぴどくフラれた。
あれからもう1年以上たっていて、私は住む場所も仕事も変わって1歳年をとった。
正直未練はない。まだ好きなんて気持ちはない。
それは時がたったいまだからではなくて、フラれた直後もそうだった。
長く付き合いすぎて冷めていた部分もあった。
だからって好きな人ができたと言われるのは想定外だったけど。
だけど1年以上たったいまでも考えることがある。
それは好きだからじゃない。喪失感のせいだったって知った。
「好き」と「喪失」は別物。
ただ「失ったこと」自体に執着してる。
心を預けた相手に去られた人はね、心のまん中にブラックホールを抱えたまま生きていくんです。
これは鳥飼茜さん作の漫画サターンリターンの主人公加治理津子が言ったセリフだ。
5年間なんでもかんでも話してきた相手を失ったことによる喪失感は気づかなかったけどかなり大きいものだったんだなってこのセリフを読んで思った。
実際いままで誰にも話したことないような私の心の闇な部分もすべて元カレには話していた。
いま友達なんていらないって思うほど人間不信な部分がある。もしかしてそれは心のまん中のブラックホールのせいかもしれない。
いつかそれを埋めることができるのか埋まらないままなのかは現段階では分からない。
サターンリターンは主人公の加治理津子の昔の友人中島が亡くなるところから始まる。
彼は昔、理津子に30歳になる前に死ぬと言っていた。そのことを書いた小説「午睡(ひるね)の国」で理津子は作家デビューする。この作品以降何も書けていない。
本当に中島が亡くなったという知らせを聞いた理津子は担当編集である小出と共になぜ中島は亡くなったのかを大阪まで調べに行く。
私があらすじをここで書くのはおこがましいほどにもっともっと入り組んでいる。読むと本当に止まらない作品だ。3巻まででているのだけど、私は今日3巻一気読みを2周した。いま続きが気になりすぎてウズウズしている。
私がこの作品を読もうと思ったのは鳥飼茜さんが「セブンルール」という番組にでていたからだ。彼女の友人が自殺したが体験から来ている話で、見たくない現実を漫画に書くんだと話していて興味を持った。
冒頭で書いたこと以外にもセリフひとつひとつがいまの私には刺さるものが多かった。
特に理津子と中島の会話は不思議で好きだった。
2人の関係も中島も謎が多いからこそ言葉ひとつひとつがひっかかる。
こんな会話がしたいと思った。
仕事しかしていないと事実しか話さなくなる。浅い友人とでもそうだ。
しばらくあの人のこの言葉どういう意味で言ったんだろう?なんて考えながら話したことなんてないような気がする。それを考えるのってつらくもありおもしろくもある不思議な感覚だと思う。事実だけじゃない会話をしたい、そんな相手がほしい。
いま読んだ熱い気持ちでブログを書きました。
4巻は今年の冬あたりに発売されるそうです。
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